営業担当者の心の内・住まい売却編 第4回

こんにちは、佐海です。

売主は、購入を検討されている買主も高い買い物はしたくないので一生懸命勉強していますから、まずは土俵に乗っていただく位の売出し価格を冷静に見極める事が非常に大事になってきます。

特に「買い替え」などの期限付きの売却動機の売主の場合、長期間の売却活動は極度のストレスを伴い、短期での取引成立は売却価格の多少の差以上の価値があります。

それでは・・・。

営業担当者の心の声(昨日の案内でA氏は、私の直接のお客さんで、B氏は〇〇〇不動産のお客さんなので、絶対にA氏に買っていただき両手取引で行きたいものだ・・・!さあ、頑張るぞ!。)

(中略、以下は電話でのやり取り)

不動産会社の担当者「〇〇不動産の〇〇です。昨日は、内覧ご苦労様でした。いかがでしたか、事前にご説明させていただきましたようにとても綺麗にお住まいのお部屋だと思うのですがあのお部屋ならほとんどリフォームする必要もないので予算内で十分いけますし、当初お探しの物件よりも築年数も築浅となります。」

買主(奥様)「はい、私もとても良い物件だと思っています。」

不動産会社の担当者「では、購入条件を所定の書面にご記入いただけましたら早速、交渉に当たらせていただきますがいかがでしょうか?」

買主(奥様)「実は、主人が本日から海外出張で、戻りが週明けの月曜日になるもので、それまでは勝手な事は出来ないんです。」

不動産会社の担当者「えへ!!そうなんですかご主人は何ておっしゃってました!?」

 

営業担当者の心の声(おいおい、これはまずいパターンだ・・・。どうしよう!)

 

買主(奥様)「主人もとても気に入ってたようでしたが、仕事が忙しくバタバタとしてましたのであまり話ができてないんです。立体駐車場の高さの件と、後二、三点確認したいことがあると言ってました。」

不動産会社の担当者「そうですか・・・。先にお話ししてましたように、今週の土曜日から売り出し価格を正式に下げますので、すぐに買主が付いてしまうと思いますので、なんとか奥様の一存と言うわけにはいきませんか!?。」

買主(奥様)「そんなことしたら主人に叱られます。」

不動産会社の担当者「分かりました。それでは、来週の火曜日までにお返事ください。それまでは、交渉中と言うことにしておきますので必ずお返事いただけますか!。」

買主(奥様)「そうしていただけましたら助かります。必ず火曜日の日にお返事させていただきます。」

 

(中略:その後 先日のもう一方の案内の〇〇〇不動産の担当者より買付証明書が届きます)

不動産会社の担当者「火曜日までにハッキリしますので、二番手と言うことでお願いします。」

営業担当者の心の声(冗談じゃない、こちらのお客さんで決めさせてもらいます)

(中略:そして火曜日となりました。)

不動産会社の担当者「もしもし、〇〇不動産の〇〇ですが」

買主(奥様)「はい、お世話になってます。」

不動産会社の担当者「ご主人さんとお話ししていただけましたか?」

買主(奥様)「すみません。主人の出張が長引きまだ帰宅しておらず、話できてないんです。一度、連絡があったので少し話したのですが、とにかく帰ってからとのことです。」

営業担当者の心の声(そんなあ・・・神様助けてください。)

その後、この物件は二番手の買主の手に渡ったのは言うまでもありません。
買主は、不動産会社の担当者が思っているほど敏感には反応してくれないのが常です。

今回の場合、不動産会社の担当者が、案内物件の希少性を率直に事前に、買主に伝えていなかったことが致命傷でした。

不動産会社の担当者と買主の情報の非対称性が凶と出たケースです。

終わり

まとめ

・「買い替え」などの期限付きの売却動機の売主の場合、長期間の売却活動は極度のストレスを伴い、短期での取引成立は売却価格の多少の差以上の価値があります。

・不動産会社の担当者と買主の情報の非対称性は問題

営業担当者の心の内・住まい購入編 第8回

こんにちは、佐海です。

不動産の相場は「ピンポイント」で表す事はできません。
過去の成約事例と対比して売却価格を予想するわけなのですが、経済動向・季節・競合物件などの影響を受けブレがあります。
不動産とりわけ「住まい」の売買の場合、相場は売却予想価格の前後5%位はブレがあります。
経済が安定している時は概ね3%の範囲でのブレがあります。

買主(奥様)「こんにちは」

営業担当者「いらっしゃいませ」

買主(奥様)「ご連絡いただきましてありがとうございました。」

営業担当者「はい、値段交渉の件であれから先方の不動産会社の担当者と、いろいろに交渉をしていたのですが…実のところ最終に帰ってきた答えが、3,550万円と言う事で30万円しか下がりませんでした。」

営業担当者の心の声(さて、怒らせないで腹落ちさせるのが今日の仕事だ)

買主(ご主人)「3,400万円になるって言ったじゃないですか」

営業担当者の心の声(言っとらん…ここは口答えをせず我慢あるのみ、直ぐに本音が聞けるので、そこからが勝負)

買主(ご主人)「せめて3,450万円にならないんですか?相場だとおっしゃってましたよね」

営業担当者「残念ながら3,550万円は最終のお返事です」

買主(奥様)「私も実家の両親に報告してしまって…とても喜んでくれたんです」

買主(ご主人)「予定の3,500万円以内ならお世話になろうと家内と話していたのですが…」

営業担当者の心の声(ほらね…買う気満々素直ないいお客様だなぁ)

買主(奥様)「何とかもう少しなりませんか?」

営業担当者「実は、先方の担当者と何回かやり取りしている間に、二番手の買付証明が入り3,550万円なので、早期にお返事を下さいとの事なのです」

買主(ご主人)「そんな事あるんですか?」

営業担当者の心の声(さて、ここから勝負)

営業担当者「ルール違反ではありません。人気物件では、よくあることです極端ですが売り出し価格より高い価格で入ってくる場合もあります。結局、みなさん探されている条件は同じような方が多いと言う事です。不動産の場合、過去の豊富なデータベースがありまして、買われる皆さんの年収・年齢・家族構成などから自ずと購入価格・地域・スッペク(築年数・最寄りの駅からの距離・専有面積・間取など)がどうしても同じ条件となってきます。なので、人気地域の人気物件では、今回のようなことはよくあります。買いに入るタイミングまでがほぼ同じと言うことですね、ただ今のところ『交渉権』はこちらにあります。それに今回の場合、売主さんが意地を張って3,550万円でなければ売らないと言っているわけではないので、感情的になる必要はないのではと考えます。ここは、冷静に考える必要があるのではないでしょうか…」

買主(ご主人)「うむ…」

買主(奥様)「そうねえ」

営業担当者「まず、3,550万円とした場合の購入価格が妥当なのかですが、この○○○○マンションの今回のお部屋の相場は3,450万円と申し上げましたが、不動産の相場はピンポイントで表す事はできません。過去の成約事例と対比して売却価格を予想するわけなのですが、経済動向・季節・競合物件などの影響を受けブレがあります。不動産とりわけ「住まい」の売買の場合、相場は売却予想価格の前後5%位はブレがあります。今回の場合、3,450万円の±5%なので、3,278万円~3,623万円ですね。経済動向が安定している時は、ここまでブレることはありませんが3%位のブレは、ブレではなく相場の範囲と言えます。3,450万円に対して3,550万円は3%以内です。次に、この物件を購入した場合の付加価値を考えてみましょう。今までお付き合いいただきまして強く感じていたのは、奥様の実家が近いと言うことです」

買主(奥様)「そうなんです。子供が出来ても安心して働くことができるのと…今は両親もまだ若いですが、10年後20年後を考えると心配で、お互いに支え合えるのが大きいと思います」

営業担当者「実際に子供さんを、ちゃんとした施設に預けるとなると、かなりお金かかりますからね。最後に、他に候補物件があるかどうかなのですが、お金(資金計画)・場所・スペックが決まっています。そうすると、該当するマンションは、今回のBマンションとA・Cマンションの三つだけです。築10年前後の売り物件が出る件数は、この地域では総戸数の3%位です。
A・B・C物件の総戸数は約150戸です。(150×0.03=4.5)で4~5戸と言う事になります。要するに滅多に売り物件が出ないと言うことです。しかも、人気物件なので情報として市場に出回らない確率が高くなるので、今回はチャンスと言う事です。」

買主(奥様)「そうなんだぁ」

買主(ご主人)「うむ…」

営業担当者「予算面でもう一度考えてみましょう。購入価格3,550万円に対して、諸費用(住宅ローン関係・登記費用・仲介手数料)は220万円です。そして、確かにお部屋は丁寧にお住まいなのでリフォームは一見不要みたいですが、家具が無くなればクロスの変色が必ずあるので貼替えの必要がありますよ。また、エアコンの設置・照明器具・場合によっては給湯器の交換も視野に入れておく必要があり、引っ越し費用を考えると、やはり予算を100万円みておかなければなりませんので…。合計3,870万円位になりますね。資金計画は住宅ローン3,500万円・頭金300万円・諸費用100万円の合計3,900万円でしたので、大丈夫ですね」

買主(ご主人)「うむ…」

営業担当者「後は、探す場所を変えるかです。
もう一駅先の○○駅なら同じスッペク(築年数・最寄りの駅からの距離・専有面積・間取など)の物件が一割程度お安くなりますので
買い易くなります。」

買主(奥様)「○○駅は急行が止まらないので…ちょっと」

買主(ご主人)「うむ…」

営業担当者の心の声(やはり、奥さんは買いたいんだ!ここは、奥さんにご主人さんを説得していただくのに賭けよう…ここでご主人さんの説得にかかり、奥さんとの考えの違いを口に出してしまうと後に引けなくなるので、二人で一晩ゆっくり話し合っていただきましょう。奥さんにお願いされると、このご主人は真面目で優しいので、必ず折れるはず)

営業担当者「はい、今すぐの結論は結構です。先方の担当者には明日の午前中にはお返事させていただきます。と言ってありますので、ご夫婦でゆっくりお話しいただいて、明日の午前中にお電話で結構ですのでお返事を聞かせてください。よろしくお願いします」

買主(奥様)「わかりました。」

買主(ご主人)「うむ…」

〜中略〜

買主(奥様)「もしもし…?昨日はお世話になりました」

営業担当者「結論出ましたか?」

買主(奥様)「はい、お世話になりますので、宜しくお願いします。あれから、実家の両親にも相談ようと思い電話したら、主人のご両親といろいろ相談したらしく、主人のプライドを傷つけない位の金額50万円づつをお祝い金として出してくれると言う事で、さすがに主人も感激し、あっさり『うん』と言ってくれました」

営業担当者の心の声(ヤッター!!やっぱりね。奥さんも奥さんの両親も何としても近くにいて欲しいんだよね)

終わり

まとめ

・不動産の相場は「ピンポイント」で表す事はできません。
・過去の成約事例と対比して売却価格を予想するわけなのですが、経済動向・季節・競合物件などの影響を受けブレがあります。
・不動産とりわけ「住まい」の売買の場合、相場は売却予想価格の前後5%位はブレがあります。
・経済が安定している時は概ね3%の範囲でのブレがあります。

営業担当者の心の内・住まい購入編 第7回

こんにちは、佐海です。

不動産取引ほど「買主」「売主」の立場の違いが際立って見え隠れするものはありません。中でも交渉過程は神経戦そのものです、不動産会社が仲介に入っての交渉は三つ巴と言ってもいいでしょう。

買主(奥様)「こんにちは」

営業担当者「いらっしゃいませ」

買主(奥様)「またお世話になります。今日で内覧三回目ですね。何回もすみません」

営業担当者「いえいえ、これが私の仕事ですから」

買主(ご主人)「よろしくお願いいたします」

営業担当者「今日、内覧していただく物件なのですが、A物件とB物件の2件です。
A物件は○○駅から徒歩12分・築17年・73㎡の3LDK南向きで価格は3,180万円です。
B物件は○○駅から徒歩15分・築9年・72㎡の3LDK南西向きで3,580万円です」

買主(奥様)「B物件は、私の実家からも10分くらいのところですね。でも…予算オーバーでリフォーム費用などを考えると無理なのでは…?」

営業担当者「まあ、とにかく見に行きましょう。」

営業担当者の心の声(かならずB物件が欲しくなりますから、早く結論出して下さいね)

〜中略〜

営業担当者「いかがでしたか?」

買主(奥様)「やっぱり、B物件が良かったです。まだ新しいのもあるのでしょうが、とても丁寧に使っておられて、あれならほとんどリフォームすることもないですよね…」

買主(ご主人)「僕もB物件がとても良いと思っているのですが…。リフォーム費用が不要としても、仲介手数料や登記費用・住宅ローンなどの諸費用を考えると物件価格+諸費用=3,580万円+250万円=3,930万円
必要ですよね」

営業担当者の心の声(ほらね!いいものを見てしまうと他のものに目がいかないでしょう!)

営業担当者「はい、その通りです。だいぶ勉強されましたね。では、B物件が3,400万円だったらどうします…?」

買主(ご主人)「180万円も安くなるんですか…!」

営業担当者「残念ながら当社でお預かりしている物件ではないので、それは私にも分かりません。しかし、私の調べではB物件の相場は3,450万円前後です。内覧時に売主の奥さんに『どうして売られるのですか?』と聞いたのを覚えていますか?」

買主(奥様)「はい」

営業担当者「子供が大きくなって手狭になったので、一戸建てに買い替えするとの事でしたよね」

買主(ご主人)「そうでしたね」

営業担当者「物件資料には、引渡時期の記載があります。B物件の場合、2か月後ですね、と言う事は買い替え先の決済が迫っていると言うことです。B物件は3,480万円で出していれば、直ぐに買主が付く物件です。買い替えの場合の売主は、買い替え先の決済まで時間があるとどうしても相場より高値から出したくなりますが、買い替え先の決済が迫ってくると今度は打って変わって、とても焦ってきます。なので、値段交渉がしやすくなります」

買主(ご主人)「じゃあ、3,400万円になる可能性がある訳ですね」

営業担当者の心の声(残念ながら、なりません)

営業担当者「なったら買いますか?」

買主(ご主人・奥さん)「買います」

営業担当者「では、値段交渉してみますね。買付証明書(購入申し込み書)に購入条件を作成しますので、署名・捺印をお願いします。先方の仲介会社に送りますから」

買主(ご主人)「はい、わかりました。」

営業担当者の心の声(ごめんなさいね。少しだけ無理してもらう事になりますが怒らないでね。もともとお二人の欲しい物件を買おうと思えば、どうしても少し予算オーバーになるのですよ…)

〜中略〜

営業担当者「今、先方の仲介会社の担当者に電話連絡のうえ、買付証明書をFAXで送りました。購入希望価格3,400万円と伝えると唸ってましたが、取りあえず交渉権は確保できましたので、あとは先方からの返事を待つばかりです。返事は数日かかる場合がありますので、返事があり次第ご連絡させていただきます。」

買主(奥様)「よろしくお願いします」

つづく

まとめ

・不動産取引の交渉過程は神経戦
・予算と欲しいものとはギャップがあり、予算より少し高いものが欲しくなる