高く売りたい!安く買いたい!パート5

三番目に影響力の強いのが

❸買替の場合です。

今住んでいる「住まい」を売却して、新しい「住まい」を購入する買替のケースです。
買替はほとんどの場合、売却と購入が同時進行するうえに、新しく購入する「住まい」の決済日が決定しています。
いま住んでいる「住まい」を売却しその売却資金で住宅ローンの残債(*1)を返却し、新しく購入した「住まい」の新たな住宅ローンを組む、あるいは購入資金の一部にするのが一般的なためです。おのずと、いま住んでいる「住まい」の売却リミットが決まっているので、どうしても割安感のある売出し価格で市場に出す場合が多くなります。

(*1)残債
住宅ローンなどの借入金の返済した額の残りの債務(元金)のこと

ゆっくりと時間をかけて売るための「つなぎローン」という手段もありますが、諸費用・金利を考えると結局早期に売った場合より手残りが少なくなる結果も考えられるため、一概には賢明な方法とは言えません。

買替は決してレアなケースではありません。特に分譲マンションの場合は常に売却理由の上位にあるため売主の足元を見るようです。
買主の立場から言えば売主の売却理由が事前に分かり、値段交渉で有利に交渉を進められる場合も考えられますが、売主の買替物件の引渡し期日が決まっており、明け渡しで譲歩を迫られる場合があるのも事実です。

概ね以上ですが、実際にはこれまでお話しした❶❷❸の理由が絡み合い、そのケースごとに取り引き「価格」が決定されています。

人気の中古マンションや地域では、そもそも売却物件が少ないために割高な価格でも早期に売れてしまいます。
「不動産は換金性の高い物件を買え」という言葉を聞いたことのある方も多いと思いますが、「住まい」でも将来売却する可能性がある場合は、割高感があるとしても人気の地域・物件を購入した方が売却の際に高く売れ、しかも売却計画がスムーズに行われるため精神的にも負担が少なくて済み、お金以上に価値があると言えるかもしれませんね。

それにしても、誰でも簡単に相場を知ることができる情報社会となった現在、売主さんには申し訳ないのですが、よほどのことが無い限り相場の5%以上で売れることはまずありません。

高額な買い物である「住まい」の買主さんは絶対に失敗したくない一心で周到に情報を集め比較検討しており、そんな人が割高な物件を買う事はないからです。
売りに出してもなかなか売れない時の売主さんのストレスは相当なもので、経験したことのある方ならよくおわかりですよね。

売主さんの売却計画の最終目的は、相場の範囲内の最高価格で、売りたい時に売れること、スムーズに売却計画を終えること、です。
それを実現する方法は、一度に多くの買主を集め競争原理を働かせることです。

買主さんの場合は売主さんと違い、もっと深刻です。
売主さんの場合、売却がゴールですが、買主さんの場合は買った物件にこれから「住み」生活が始まるからです。

つまり、購入の決断がず~っと付いてまわるため、絶対に後悔したくない失敗したくない、それが精神的な部分の多くを占めています。安らぎの場であるはずの「住まい」に対していつも「失敗した」などと思いたくないからです。
ましてや、とんでもなく割高な物件を買うなど論外でありえないことは言うまでもありません。

高く売りたい!安く買いたい!パート4

二番目に影響力の強いのが

❷お部屋の保守状態の良し悪しです。
当然の事ですが室内が傷だらけの物件と丁寧に使用されている物件では、その時点で購入検討者の印象が違います。
「だいぶリフォーム費用がかかりそう」と感じるのと「手直ししなくてもそのまま住めそう」と感じるのとでは取引価格に大きく影響するのは当たり前のことです。

ましてや、2年前に200万円かけてシステムキッチン・水回りの取り換え(浴室・洗面化粧台・給湯器)・全室クロスの張替をリフォームした物件と分譲当時の仕様のままの物件ではどうでしょう?
佐海さんなら、迷わず2,100万円だしてもリフォームした物件を買います。
みなさんの大半も同じ選択をされるでしょう。

ただし、2年前にリフォームに500万円かけたからと言って、物件の価格は2,000万円から2,500万円にはなりません。
前回お話ししたように、2,000万円の予算で物件を探している買主は2,500万円を出さないし出せないためで、一方で2,500万円の予算で物件を探している買主はもう一段高いスペックの物件を探しているため、検討の対象物件ではないからです。
ましてそのリフォーム工事が8年前だったりした場合はほぼ評価されません。

また、リフォームも程度もので、あまりにも個性の強いリフォームや元の間取を変えたもの、例えば3LDKを2LDKまた1LDKにしたものはせっかく大金をかけても価格に反映されない場合が多いです。
少子化と言えどもまだまだ間数が必要な買主さんが多いためです。

たまたま、ぞっこん気に入った方がいた場合は評価され価格に反映される場合がありますが、これはレアなケースなので、期待して上乗せした価格で売りに出すとなかなか売れず、結局は二次情報(価格の見直しなどをして改めて売りに出す物件)となる場合が多いようです。

初めからリノベーション(全改修リフォーム)する事を前提で物件探しをする場合は、保守状態の余りよくない1,900万円の物件の方がラッキーと言えるかもしれませんね。

以上は、買主さん目線のお話しです。
一方、売主さんの目線で言えば、普段からお部屋を大切に使うだけで200万円(10%)の差が出る可能性があると言うことです。

ここでひとつ、簡単に買主さんの印象を良くする秘訣をご紹介しましょう。
住宅の売却物件の場合、ほとんどはまだ居住中での内覧になるため、当然家具や荷物がお部屋の中にある状態で買主に見られてしまう事になります。
売却すれば引っ越しするのだから、事前にお部屋の中にある不要な物を片付けて整理していき、露出している荷物を出来るだけ少なくし、お部屋を広く見せることです。

買主はお部屋の内覧の際、事前に物件資料を見てお部屋の間取・面積を重視して内覧に臨みます。
マンションの場合は特に柱や梁がお部屋の内部に一部出ていることが多く、買主は内覧前のイメージより狭く感じるのが殆どです。ましてやお部屋の家具や荷物が多く、イメージしていた以上に狭く感じてしまうと保守状態の良し悪しの前に検討対象外となり、なかなか買主さんが寄り付きません。
結果、値下げして割安感を出して売り切ることとなります。

また大都市で中古の一戸建を売却する場合、お隣との間(空間)をあまり確保できていない場合が多く、建物のメンテナンスや万一の火災時などの避難通路の確保などを考えた場合、室内同様整理しておくのが必要です。

要するに、マンションであれ一戸建あれ、室内であれ外部であれ、何も無いのが一番であると言う事です。
新築住宅が綺麗で広く見える理由、これが究極の答えです。

次回は最後の三つ目の理由と、一つ目から三つ目までを総括したいと思います。

高く売りたい!安く買いたい!パート3

では、2つの問いを挙げましょう。

①みなさんは住まいをどれほど高く売ることができ、どれほど安く買えるのでしょうか?
(勿論、想定はバブル経済のような異常な時のお話しではありません。)

②不動産に「掘り出し物」はあるのでしょうか?

答えから申し上げましょう
①の答えは、
みなさんが一般的に取引することのできる居住用不動産の中古物件の場合、相場の5%前後の範囲で売買されています。

②の答えは
「掘り出し物」はあります。

それでは、それぞれの答えについてもう少し詳しくお話ししましょう。

①みなさんは住まいをどれほど高く売ることができ、どれほど安く買えるのでしょうか?

まずこちらについてお話しします。

例えば
大都市のとある駅から徒歩15分の中古マンション・築20年・3LDK・専有面積70㎡という物件の相場が2,000万円だとすれば、みなさんには概ね1,900万円~2,100万円の価格の差異の範囲で売り買いされています。

「前後5%も変わるの!」と思われる方と「前後5%しか変わらないの!」と思われる方の両方がいらっしゃるでしょうが、先にお断りしたように「みなさんが一般的に取引することのできる物件の場合」を想定してお話ししています。
分譲マンションを建築するような大きな土地や、都心の一棟売り収益物件などは市場環境が違います。
もっとも、いまお読みになっていただいているみなさんは、そのような物件には関心ありませんよね。

では、なぜこのように200万円(10%)もの差異が生じるのでしょう!?

三つほど原因がありますが、影響力の強い原因からお話します。

一番目に影響力が強いのが ❶同じ地域で同等レベルの売却物件がたくさんある場合です。

わかりやすいのが中古マンションの売却物件です。
総戸数120戸の中古マンションで年間平均12戸の売却物件がある場合、うまい具合に毎月1戸づつ売りに出る場合と、たまたま極端に1ヶ月に12戸が売りに出る場合ではどうでしょう?
後者の場合、供給過多になり相場が崩れるのは当然ですよね。

ここまで極端なことはないでしょうが、たまたま4〜5戸が売りに出る場合はよくあることです。
しかも近くに同等レベルの中古マンションも何棟かあり、それぞれ数戸づつ売却物件がある場合も当然供給過多になり、相場が崩れ、割安感を出さないと売れないと言うことになります。

でも、ご安心くださいそれでも1,900万円で売れていきます。
それは、すべての物件が一斉に1,900万円に値下げしないからです。
割安感がある物件から順番に売れて行きます。それが相場というものです。

買主さんの立場に立てば、値下げを決定した二次情報(価格を下げて改めて売りに出す物件)は割安感のあるお買い得な物件という事になりますが、残念ながらその情報は取り扱っている不動産会社の担当者でないと分からないので、その担当者と直接連絡を取り合う関係になっていないと事前に値下げの事実をいち早く知ることができず買えません。

なぜなら、既に担当者は「安くなれば買う買主」を見込客として掴んでいる場合が多く、一般に向けて情報公開せずともそれらの買主に売れてしまうからです。

以上は、買主さん目線のお話しですが、売主さんの目線でお話しすれば当然真逆となります。
同じマンションや付近のマンションに売り物件が無い時期を上手く見計らい売りに出せば、割高で売れる確率が数段高くなります。
しかし、2,100万円では売れますが2,500万円では売れません。

これは2,000万円の予算で探している買主は¥2,500万円は出さない、または出せないためで、一方で予算予算2,500万円で物件を探している買主はもう一段高いスペックの物件を探しており、検討の対象物件ではないからです。

もっとも売主さんの売却理由はそれぞれで、みなさんが計画的な売却を行えるとは限らないため、売却価格が相場の前後5%のブレ、200万円の差異が生じるのです。

都心部の中古戸建を売却する場合は分譲マンションの場合とは少し事情が違って来ます。
分譲マンションの場合は永住を前提に購入される方は少なく、20年~30年住んで買い替えする方が多いので流通量も多くあります。
中古戸建の場合は永住指向が強く、そもそも流通量自体が少ないために相対的に売り手市場で今のところ相場的に高く売れる場合が多いのですが、人気地域とそれ以外の地域や駅から徒歩圏内かバス便かで二極化が進んだ結果価格の格差が鮮明になって来ており、二極化の傾向は今後ますます顕著になるのは避けられないでしょう。

大都市周辺の高度成長時代に開発された大型ベッドタウンでは事情は真逆で、少子化の影響もあり売却するのにみなさん苦労されているようです。
この話は非常に重大なお話しなのでまた改めてお話ししたいと思います。

二番目以降の理由についてはまた次回お話ししましょう。

高く売りたい!安く買いたい!パート2

結局「査定書」の意味とはなんだったんでしょう?
「査定書」の査定価格が2,000万円の場合、不動産会社はこの物件の売却可能価格は2,000万円ですよと「売主さん」に提示している訳です。

実は、「売主さん」の気持ちを忖度しつつ上手く利用して物件確保する不動産会社の担当者の抜け目ないのが凄いところで、自分から2,300万円と言って物件確保すると、当然相場よりも高くて売れない訳です。
そうした売れない時には、その責めを売主さんから受けかねないのですが、売主さんから2,300万円と言ってもらえば「売主さんの要望に応えた」と言う大義名分ができます。
その場合、売主さんの信頼を勝ち取ることに成功している不動産会社の担当者としては、2,300万円で売れなかったとしても、その後の二次情報(*1)になった場合に両手取引の大きなビジネスチャンスにつながりますので、まずは物件確保ができ一安心というわけです。

(*1)二次情報
初回の売り出し価格で売却する事ができず値下げして売りに出す「値下げ情報」です。不動産会社にとっては両手取引を実現できる可能性の高いとても魅力のある情報です。
また、買主にとっても魅力のある情報の場合が多いです。

これは売主さんが悪い訳でもなく不動産会社の担当者が悪い訳でもないのです。
売主さんは一縷の望みをかけて高値から出したいのが人情で、要望に応えようとする不動産会社の担当者はなんら違法行為をしている訳でもないからです。

ただし、こうした結果、売主さんはなかなか家を売却できず、ストレスが溜まり胃が悪くなり貴重な時間を無駄遣いする事になります。一方、不動産会社も売れないのを百も承知で形だけの広告活動をし、無駄な時間と広告経費を使い収益率を下げることになり、もはや何が何だかよく分かりません。
非生産的ですね!

もっとも昨今では、「高く売れます」などのキャッチコピーで売主さんの関心を引き、利用させようとする「査定サイト」が氾濫しているようです。
本当にそんなことができるのか佐海さんの記事を読んでいただければ答えお分かりになると思います。

さて一方買主さんは、当然自分の希望に近いであろう物件情報を不動産会社さんから提供を受け、その中からいくつか良さそうな物件を内覧し、その中で一番良かったと思える物件を見た時に不動産会社から「早く決めないと売れてしまいますよ。」などと煽りを入れられる訳です。
そんなことは百も承知の買主さんは少しでも安くすることができないものかと、気に入った購入しようと思っている物件の粗探しをして、少しでも値段交渉を有利にしたいと考えています。

買主さん「先ほど内覧した××邸どれくらいまで値段下がりますか?」

買主さんが値段のことを聞いてくると言うことは、物件に関心があると言う事を十分に分かっている不動産会社の担当者は、以下のような受け答えをし、やんわりと値段はそんなに下がらないことをにじませつつ煽りを入れます。

不動産会社の担当者
「××邸はいい物件ですよ丁寧にお住いですし値段もお手頃な価格なのですぐに売れてしまうと思います」

買主さん
「でも、お風呂に浴室乾燥機も付いていないし、お台所の流し台も食洗器が付いてなったので、私たちが買うとしたら全てリフォームするので相当費用がかかりそう」

確かに、そのことは事実ですがお風呂も流し台もまだまだ十二分に使えるもの、リフォームするのは買主さんの自由で、それを売主さんに持って行ってもしょうがないくらい、これまた十二分に分かっていながら、さらりと言うことにより値段交渉してほしいという自分達の意向を担当者に伝える買主さんの高等テクニックです。

その後、不動産会社の事務所にもどりゆっくりと話し合い、買主さんの購入意思を確認後、担当者のお決まりの「セリフ」が炸裂します。

不動産会社の担当者
「では『買い付け申込書』を書いていただけますか。売主さんに失礼のないように書面で購入の意思をお伝えし、価格を含め△△様(買主さん)の購入希望条件を売主さんにご検討していただきます」

こんな具合です。

パート1からお話ししてきた売主・買主さん両者の話(心理)はごくごく当たり前、痛いほどわかる話です。
ここで不動産会社の担当者が毅然とした態度で自分が調査作成した「査定書」の正当性を主張し早期に売却できる妥当な価格(値付け)を提示できれば、もっと売主さんのためになるスムーズな売却ができ、買主さんも自分が購入したい物件に対して粗探しをしなくてもよく、不動産会社も無駄な時間や広告経費を使わなくて済み三方よしなのですが、それが出来ないのが現場の担当者の辛いところです。
かくいう佐海のおっちゃんも、両目をつむって何度も売主さんの顔色を見て物件確保してきました。

そもそもネット時代になった今日、三方よしになるネットのサービスはないのでしょうか!?

次回は、シリーズの話題の原点に戻って不動産の相場の話をしたいと思います。